フォーチュン
「知っているか、アン」
「え。何をですか」
「この木に触れると、時折“声”が聞こえるという者がいる」
「・・・・・うそ」
「嘘ではない。今俺も聞こえた」
「な、何と言われたの、ですか」
「それは言えない」
「あ、ああ、そうですよね」
「気を悪くさせたのならすまない。だが生命の木の言葉は神の声だと言われている。だからむやみに他人に言うものではないと言われているのだ。だからアンも声が聞こえたのなら、俺にも、誰にも言う必要はない。ただ聞こえたということは信じても良い」
「・・・はい」

コンラッドは、私のことを気が変になったと思うどころか、その心理まで察してくれていた。

アンジェリークは感激で胸がいっぱいになり、思わずユーリスの手をギュッと握っていた。
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