フォーチュン
当然ながら、この話は、すぐ姉妹の両親へ伝わった。

「良くやった、アンよ!でかしたぞ!」
「本当に。アナスタシアの代わりに宴へ出席したことだけでも、アンジェリークにしては立派に国務を果たしたと感心していたのに。まさかこのような吉報をいただけるとは、正直思っていなかったわ」

あ、あの、母様。
それは一体、どのような意味を込められておっしゃっているのでしょうか・・・。

「とにかく、アンジェリーク。良くやってくれました。私からも礼を言います」
「いえ、そんな・・・」

確かにこれは喜ばしいことなんだけど、どうしても引っかかる。
なぜって、私は遠目でチラリ程度にしかユーリス様をお見かけしていない上に、お話しすらしていない。
5分足らずの滞在時間で、ユーリス様のお目に留まったとは・・・どうしても考えられない。
でも、アナも喜んでいるし、父様も母様も万歳三唱をしているし。

いいのよね、これで。
いいのよ、ね?

喜ばしいことなのに、アンジェリークのグリーンの瞳はどことなく翳りがあることに、本人も気がついていなかった。
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