フォーチュン
逆に言えば、占術師に必要以上の権限や力を持たせると、国王と占術師の調和が取れている関係が崩れてしまう、ということ。
そうなればドラーク王国は独裁政権と化し、結果、この世の全ての調和が崩壊してしまう。
それほどまでに、ドラーク王国は世界に及ぼす影響力が強い。

国王と占術師の関係の調和が取れている限り、国は繁栄するとドラーク王国では考えられている。
それゆえ、国を統治する国王も、必要以上の私利私欲を持ってはいけないと承知している。
でなければ、建国以来ずっと、世界の中心であり続けることも、世界で一番繁栄し続けることもできないのだ。

占術師は、国王や王家、民が選ぶのではなく、占術師が次の占術師を選ぶ。
その時期は占術師にしか分からず、選び方は占術師独自の方法でなされると言われている。
つまり、誰にも分からないということだ。

今の占術師である「愚者(フール)」。
これは本名ではない。
誰も、現国王ですら、本当の名を知らない。

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