フォーチュン
あの宴のとき、ユーリス様が遠目からでもアナになりすました私の姿をご覧になっていたのなら、ここ(バルドー)で私を見たら、宴に来ていたのはアナではなかったとばれてしまう可能性はある。
それでユーリス様のお怒りを買ってしまったら・・・。
私はおろか、アナや母様、父様の首が飛んでしまうかもしれない!
その程度の処罰では済まなくて、民へも処罰が下されるかも・・・。
つまり、バルドー国は崩壊してしまう。

自分の周囲はすでに絶望で覆いつくされていたと、今になって気がついたアンジェリークは、「分かりました」と両親に答えた。
とても寂しそうな目をして、無理に微笑を浮かべるアンジェリークに、「あなたの決意に敬意を表します」と母親である女帝・ヴィヴィアーヌは威厳ある声で申し渡した。
< 88 / 318 >

この作品をシェア

pagetop