フォーチュン
ウィリアム王子は、どれくらい優しい御方なのだろう。
コンラッドくらい？
それに、コンラッドのように背が高くて、たくましい体をしていて、適度なユーモアを持っていて、それでいて情熱的で・・・。

「あぁコンラッド」

アンジェリークは両手で顔を覆い隠すと、しくしくと泣いた。

どんなに素敵な御方でも、コンラッド以上に素敵な御方はいない。
コンラッドに心を奪われてしまった今、私はどの御方に対しても、心を動かされることはない。
どの御方に対しても、コンラッドと比べ、コンラッドと重ね合わせて見ることしかできない・・・。

皇女として生まれた自分の宿命に、叶わぬ恋に身を窶（やつ）しながら、好きでもない王子と結婚をしなければならない自分の運命に、アンジェリークは、グリーンの瞳から涙を流すことしかできなかった。
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