黒王子と白王子とわたし
試合は序盤から 互いに攻守を繰り返していて なかなか思うようにボールが運べない
優 が相手のボールを奪っても すぐにまた奪い返されてしまうくらい 相手も上手い
愁に至ってはまだボールに触れていない
ピッチの中盤でしかボールが回らないくらいに
接戦だ
−−−ピピー
平野先輩が倒されて 膝を抑えている
「監督 平野先輩が」
「大丈夫だ 立ち上がった 接触が多いな」
さっきから相手選手の平野先輩への接触が多いのは目立っていた
「接戦だよね 中盤の選手の体力が心配」
「うん 6月だけど結構暑いしね」
話している間に ボールはうちの学校のゴール付近へ
ディフェンダーが懸命に守っているが 相手の9番のパスを8番がヘディングで押し込んだ
−−−ピピー
キーパーの左上をすり抜けてゴールに入ってしまった
このまま ハーフタイムへ入ったが ベンチの空気は重く ピリピリしていた
「最後まで諦めるな 気を引き締めていけ」
「「はいっ」」
「接戦だったな!後半も同じ展開になると思うけど次は点に繋げるぞ!!」
「「はいっ」」
監督と部長がそれぞれ部員の気合いを入れて
選手はピッチに戻っていった
部長の言葉通り後半も前半と同じ接戦で うちの学校も果敢に相手ゴールにシュートを放つが点は決まらず
結局 0-1で負けてしまった