アイ・ラブ・ユーの先で
「じゃあ、2学期からはちゃんと行けるの?」
どこかなじるような言い方をしてしまった。
こんなに優しくしているのに。
こんなに心配しているのに。
どうしてわたしが、そんな、怯えたような瞳をむけられなければいけないの。
「みんな心配してるんだよ。侑月どうしちゃったのかなって、みんな思ってるよ。それを無視して、好き勝手に学校休んで、理由も言わないで、それって、どうなのかな」
身勝手な妹のそのまなざしは、わたしがいま持てる理性をすべて見失うのに、あまりにも充分すぎた。
「……お姉ちゃんには、わからないよ」
「なに……」
「お姉ちゃんは、いつも、正しいことしか言わないから」
濡れたふたつの瞳が、真っ向からわたしを見つめ、そして、完膚なきまでに否定している。
「侑月……いま、いじめられてるの。クラスのみんなから無視されてるの。お姉ちゃんは、こういう経験したことある? 誰かに嫌われたこと、ある?」
お父さんから、お母さんから、お兄ちゃんから、そして、わたしから。
愛されて、甘やかされて、愛されて、愛されて、愛されて、そうやって、思うままに愛情をひとり占めしてきたはずの末っ子が、信じられないことを言っている。
「リボンとか、ピンクとか、レースとか、中学生にもなって好きなの、キモイって。お姉ちゃんが『好きなのにすればいい』って言ってくれたから、裁縫セットも、彫刻刀も、ぜんぶ、侑月、好きなの選んだのに……キモイ、って」
「……なに、その言い方。わたしのせいだって言ってるの?」
「だって……侑月、知ってるもん」