アイ・ラブ・ユーの先で
「妹が……1週間くらい前から、学校に行けなくなって」
どうしても自己弁護をしているような説明になる。
おまえは悪くなかったと、家出をするのもしょうがないと、慰めてほしくて、受け入れてほしくて、わたしはいま、こうして卑怯な涙を流しているのかもしれない。
「それでおまえは、妹にひどいこと言われた、母親に勝手なこと言われた、父親や兄貴に理解されない、って絶望した挙句、一生帰らねえってガキみたいに泣きながら出てきたのか」
かあ、と顔が熱くなるのがわかった。
さもしい気持ちをまるっきり見透かされている気がして、おもいきりかぶりを振った。
でも、本当にちがうんだ。
わたしは家族のことが憎いんじゃない。
――ただ、怖くて。
とても、あまりにも、恐ろしくて。
「……図星だった、から」
侑月に言われたこと。
お姉ちゃんが、侑月のこといちばん嫌いなの、知ってる、って。あの言葉。
咄嗟に、うまく否定できなかった。
ぎくり、
なんて、絶対してはいけない音が脳ミソのなかで響いてしまった。
それを自覚したらもう、自分のこと、信じられなくなってしまった。
とても、恐ろしくなってしまった。