アイ・ラブ・ユーの先で
横目でちらりと見たら、青と白がきれいに混ざった水平線が、まるで水彩絵の具で描かれた絵画のように滲んでいた。
ああ、これはもしかしたら景色のほうじゃなく、わたしの視界のほうがぼやけているのかも。
そう認識した瞬間、いっきに情けない気持ちになってしまう。
このまま派手に転んで骨折でもしてやろうかとバカげたことを一瞬だけ考えたけど、本物のバカになるのが嫌なのでやめた。
たまに、本当につまらないことで、どうしようもなく泣きたくなる。実際に泣いてしまうこともある。
自分の心に、折り合いをつけることができなくなる。
過去のいろんなことを後悔したり、未来のすべてを投げだしたくなったり、子どものように駄々をこねたくなったり、大人ぶって悟ったような気持ちになったりする。
それがどうしてなのか、ぜんぜんわからない。
本気で解明しようとしていないのかもしれないし、答えなんて世界のどこにもないのかもしれない。
それともわたしが幼すぎて、そのメカニズムまで、まだ理解が及んでいないだけかもしれない。
だから、ひたすら泣いて、泣いて、泣いて、ぜんぶ発散する。
なにを“発散”しているのかもわからないけど、それでも泣きやんだあとはいくらかすっきりしているから、そうなのだろうと勝手に思っている。
そういう気持ちになるときに、法則性はまったくない。
テレビを見ているときだったり、漫画を読んでいるときだったり、湯船に浸かっているときだったり、そう、まあこんなことってほとんどないけど、こんなふうに、風を切っているときだったり。
時間や場所に規則はないけど、約束事ならひとつだけあった。
わたしが“こう”なるのは、いつも、ひとりきりでいるときだ。