アイ・ラブ・ユーの先でのレビュー一覧
なんて愛おしいお話……! 胸が苦しくなるほど好きなフレーズが散りばめられてる、贅沢すぎる十九万字。 ただのキュンで終わらない、ただの恋で終わらない。ふたりの間に生まれたものは、愛だったなぁと思います。 佳月と昂弥だったからこそ育まれた絆。出会いは運命的なものがあるけれど、その運命を愛まで持っていけたのは、ふたりだったから。 そして、家族に対する感情の描写が本当に秀逸で! 好きや愛してるは、必ずしもそれ単体で存在するものじゃなくて。好きには嫌いがくっついていたり、愛には羨みという一面があったりする。 そのグラデーションみたいなものを、どうしてこうもうまく書けるのかなぁと、脱帽しました。 だれかと出会って、関係を築いて、積み重ねて……その中で相手の”特別”になる。 それはまぎれもない奇跡で、泣きそうになるほどの幸福だと、改めて教えてもらうことができました。
「意味なんて、そんな傲慢なもん、欲しがるな」 ひとそれぞれ、生きてきた環境も違えば、抱えている問題も感じている葛藤もちがう。家族の在り方も、見え方も、やさしさの感じ方も。けれど惹かれて、手を取り合って、お互いを救いたいと思う。運命が本当にあるなら、このふたりをとおして、このことばの意味を知った気がします。 読後、ぼろぼろと溢れる涙がとまりませんでした。阿部佳月と水崎昴弥の出会いから救いまで、きれいに、やさしく、時に乱暴に、時に温順に、こんなにもいとおしく掬い取って羽ばたかせる作者さまの表現には脱帽します。 “そうじゃなくて、それよりもうんと深い場所にあるものを、いつも静かに、さりげなく、そっと、見せてくれる” 100個の叶えて欲しいことも、101個目のおねがいも、全部一緒に歩んでいって欲しい。だいすきです。 是非、御一読ください。