私の血で溺れて 優しく口付けて


松明の灯りはいつのまにか戻っていて
人々の恐怖に凍りつく表情がはっきりと見える。



「そんなに怖がらなくてもいいじゃないか」



ふふ、と不敵に笑う背後の存在。


私の後ろに立っているのだろうが、後ろを確認する気にはなれなかった。



_________まるで、普通の人間。




後ろの気配は、人ならざるモノの______化物の気配ではない。



人間と、何も変わらない。
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