浅葱色の恋心
強引に立たされた


「行くぞ!」



私は、お父様の顔を見た



ここまで育ててくれたのに
たくさん我が儘をきいてもらったのに

私は、何も返せない




ごめんなさい




お世話になりました





深く 深く 頭を下げた










土方様に促され


奉行所の外に出たものの


もう



帰る場所がない






無罪になったとはいえ

人を殺めたのだから、太夫ではいられない

桃香として帰る家も失った


門で、ポツリと立ち尽くす私の背中を


土方様が押した













< 137 / 401 >

この作品をシェア

pagetop