浅葱色の恋心
先ほどまで、困り果てていた人とは
思えないほど、満面に笑みを浮かべ

私を愛おしいく見つめる



「……あ……にうえ?」



まさか


まさかね?


嘘だよね?


こんな、能天気な人が兄上なわけ……








「おお!!思い出したか!!!
お前の兄だ!!」




抱きつこうとするこの人を押し戻す



「なんで貴方が兄上なの!!
どっちかというと弟でしょ!!」


「仕方ないじゃないか!!
お前、ちいせぇし!!
俺、男だからな!!」


「騙そうとしてるのね!!!」


「兄上って、言い出したのはそっちだろ!」


「勘違いよ!!間違ったの!!」





慌てて、膝から降りると

遠目に、兄らしき人を睨む





ニコニコしてるから

多分… また、能天気なこと考えてるかも




「なら、今日からお前は、俺の妹だ!!
名前も、お前の好きなものにしろ!
怖い夢見るのが嫌なら、そばにいてやる
どうだ?俺の妹になるか?」


「……」


「字の書き方、教えてやるぞ?」


「本当!?」


「妹になるか?」


「なる!!!」


「よし!特別に妹にしてやる!!」


「やったぁーーー!!!」






思い出せないけど

何か怖い夢の中にいた


なぜ、字を習いたいのか


わからないけど


凄く嬉しかった




「ここの人達は、皆
お前を守ってくれる
仲良くしろ!」


「はい!」




私の兄だと名乗る

似ても似つかぬ顔の永井尚忠が


「帰る」


と言えば


「また来てくれる?」


「当たり前だ」


さみしいと思った






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