浅葱色の恋心

わからない 下

午後


彩華に字を教える




はずが…





新選組の幹部らと、彩華の話に夢中になる




「俺が子供に字を教えることになって
そこにアイツがいたんだ
小さいけど…子供ほど小さくないから
浮いてて
廻りの子から、字が下手くそだって
からかわれて
来なくなったんだ ははっ」


懐かしさのあまり、思い出し笑いをする



「アイツがなんで読み書きできないのか
気になって……家行ったら
幼なじみに文を書きたい!って泣くんだ
代わりに書こうか?って言ったら
自分で書きたいって、泣いて
返事が来ても読めないって泣いて
どうにか読めるようになったころ
町で太夫を見たらしく
町の皆がその太夫を知っていたから…
太夫になる!有名になって見つけて貰う!
2人、字が上手だから教えて貰うってさ
知ってた?
2人と遊びたいから、字習いを
さぼってたんだって」


「知らなかった…」  「それで…」


















「教えてくれるって言ったのに…!!」



完全にふて腐れている彩華に


「筆を持ってごらん」


山南がニコッと笑うと
彩華は、筆を持った


「こう?」


「そうだよ 力を抜いててね」


彩華の手を山南がそっと持ち

紙に『彩華』と書いた



「あやはな?」


「ふふっ 『いろは』君の名前だよ」


「これ私の名前!?」


嬉しそうに字を眺める


「あれ? でも… 私… 彩華なのかな?」



「え?君の幼なじみがね
あそこにいる2人なんだけど
小さいころから、彩華だったはずだよ」



「兄上は、私を『彩華』とは呼ばない」










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