浅葱色の恋心
【彩華】





思い出さなくていいのかも




そう思えた





その時は、これから先


ずっと平穏な日々が続くと思った







もしもの為


広間に皆で、布団を敷いて寝ることに


もしもって、なんだろう??





もしもは、私の見る怖い夢のことだった






その夜は、風が強く

木の揺れる音がした

暗闇で


誰かに自由を奪われて


〝めちゃくちゃにしてやる〟


誰かの心の声がして


「いやぁ!!離して!!
触らないで!!いやぁ!!!
やめて!!いや!!やだ!!やだ!!」


必死で叫んだ



「芹沢さん!!助けて!!助けて!!」




やだやだ!!助けて!!!





ギュッと抱きしめられた



「もう大丈夫!!怖くないから!!」



涙が止まらなかった

泣いて、ぼぉーっとしてきたころ


「芹沢さんって、誰?」


私を宥めてくれた兄上に聞くと


「お前の仲間だよ」


って、言ってた



なんの仲間???





どうして


何も思い出せないのかな















< 168 / 401 >

この作品をシェア

pagetop