浅葱色の恋心
【一】





つけられた火は、風で燃え広がり

消火作業は、困難を極めた




ポツポツと雨が降り始め





天の恵みだと歓喜した





「彩華?」





雨が本降りに変わった頃




平助が、呟いた




視線の先を見ると


確かに、彩華が踊っていた




徳川様の為に、連れて行かれたと聞き

また、離れ離れになったと

さみしく思ったが



彩華が、雨を降らせてくれたのか




「彩華!!やめろ!!もういい!!」




平助が、彩華の方に走っていく





彩華まで、あと少しというところで




彩華は、倒れた





俺も、彩華の方に駆けた






「彩華を屯所に連れて帰れ!!」


「俺は、医者を呼ぶ!!」




平助が、彩華を抱えて走り出す




「土方さん!!」


「ここは気にするな!!行ってやれ!!」


「はい!」







恐ろしく顔色が悪かった




不安で、胸が押しつぶされそうだ











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