浅葱色の恋心
【彩華】



「桃香… お願い…
私達に、子供を看とらせないで
勝手なことを言っているけど」


〝あなたから子供を奪ったのに…
勝手な母を許して!!どうか
どうか… 生きて…〟




「遠く離れても、家族に変わりない
桃香… 頼む」



〝出来ることなら手放したくない
だが、生きてくれるなら…〟





どうしてかしら?



読めなかったお母様とお父様の心が

こんなにも流れてくる



生きたい

生きなくちゃって


思ってしまう





子供を亡くして


悲しかった


あの気持ちを


2人にさせたくない





「あ……兄上」



ポロポロと涙が流れるのに

私の体は、自由にならない



「少しだけ……
ほんの少しでいいから
一と平助と、3人で生きてみたいの」



「少しなんて、ケチなこと言うな!
どうしたらいい?」



「兄上……横になって…手、繋いで」




ゆっくり 尚忠の命を貰う



俺は役に立つ男だって、よく言ってたね

こんな能天気な兄は、嫌だとか

我が儘言ってごめんね



団子、美味しかったよ





「兄上…ありがとう」




尚忠が意識を失う頃には

私は、危険な状態を脱した




一と平助に体を支えて貰いながら

起き上がり、三つ指をついた



「お父様 お母様
桃香は、幸せでした
お世話になりました
兄上をよろしくお願いします」

















< 183 / 401 >

この作品をシェア

pagetop