浅葱色の恋心
【彩華】







押し入れの中









土方さんと平助が、帰るのを待った








「彩華 帰ったで」


「ごめん… 君菊に嫌なことさせて」


押し入れから出て、謝った


「迎えに来ない人… いつまでも待てへん
待ってる間 ひとりぼっちにされるんは
ホンマにつらいことや
彩華… 彩華が羨ましい
うちも、どこか逃げたい
噂で、新選組の活躍や、土方はんの名を
聞けたらええ」



「君菊は、ひとりぼっちじゃないでしょ!
千歳がいるじゃない!
さて、そろそろ仕事に戻らないと!
また来るね!」



「へえ!待ってます!」





君菊と私は、同じ気持ちだった


滅多にこない土方さんを待ち


体の弱い千歳の世話を懸命にすることで
寂しさから逃げていた














千歳が  







亡くなった











君菊は、抜け殻のようになり

何もしなくなった



私が行くと、私の作ったものは食べる




ほとんど住み込みのように

君菊のところにいたが






土方さんは、来なかった









きっと   この辛い出来事から


逃げているんだ










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