浅葱色の恋心

願い   上

【一】




毎日 平助と彩華のお見舞いをした

息苦しいのか、口数が減り

床に伏せ起き上がれなくなってきた

医者は、お手上げだと薬すら出さない




平助は、未だに彩華を晴太と呼べず

〝なぁ〟 〝おい〟

とか…

まるで旦那のようだ



起き上がれる日は、庭を眺め

穏やかに微笑む



動ける日は、廊下まで出て庭を眺める




朦朧と意識がはっきりしない日は

俺達が来ると  「おかえり」 と言う



一緒に暮らす夢を見ているのだろう



だから、俺達も

帰り際は  「いってきます」



「早く… 帰ってきてね…
         いってらっしゃい」


弱っていく彩華に

胸が締めつけられる








彩華が療養を始めて 1ヶ月







思わぬ来客










永井様と彩華のお見舞いへ














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