浅葱色の恋心
離脱して数日後




御陵衛士と新選組の幹部で
今後の話し合いとする宴が開かれた



平助と俺は、目を疑った



「あら?そちらは?」


「蒼井晴太と申します」


「入隊試験で、永倉に勝ったので
一番隊に配属した新入りですよ」



勝った? 


永倉君に視線をやると

苦笑いしていた

その反応で本当なのだと察した

永倉君は、手抜きなんてしない



「へぇ?蒼井彩華さんとそっくりね?」


「彩華は、妹です」


「永倉君に勝る腕前
よかったですね!
幹部を離脱させてしまったから
心配してたのよ!」


「とんでもない新入りで
剣術指南もさせたら
沖田より厳しく
平隊士に怖がられて クククッ」



何させてるんだ!!!

土方さんが楽しそうに笑うあたり

本当に怖がられているようだ




ああ…




って…



ことは…







平助をチラリ




平助も俺の方にチラリ






〝伊東さんに従う必要も
御陵衛士になることも
全く無駄だった…〟




平助の目がそう語っていた


すぐに口を尖らせ

畳を睨んでいる






「御陵衛士と新選組の交流を禁止します」







伊東さんが提案した



近藤さんが




「そこまでしなくても…」




そう言ったが




数日後



新選組から御陵衛士に移りたいと
数名が動き

伊東さんが新選組をたて、受け入れを拒否



正式に交流が禁止された







浅葱色の羽織で巡察する

彩華が、俺達を見つけると

ニコッと笑い

ペコリと頭を下げた



なんだ…  この距離感



彩華が物凄く

遠くにいるようだ


つい最近まで着ていた羽織が

妙に似合っていた








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