浅葱色の恋心
翌日




新選組の幹部が

近藤さんの警護をしつつ

ついでに私を連れて帰ってくれる



「万事、上手くいって良かった!
これからもよろしく頼んだよ!」







帰り道




近藤さんったら

幕臣のことより、私の無事が気になって
眠れなかったって


目を潤ませて喜んでくれた



私、バカだな…



今思えば




最初に女中に誘われた時に

永井の家が良かったとか
再会が偶然だったことに、ガッカリして
つまらない意地張って

太夫を続けたりしなければ


もっと色んな事が、上手くいってたかも





っ!






何かの気配を感じ

近藤さんの籠の盾になる







気配を探り、集中していると


「心配すんな」



落ち着き払った土方さんが、微笑む



「ぬかりはねぇよ」




余裕しゃくしゃくに、言った


「ずいぶん余裕ですね」


その顔をジロッと見上げる



「副長 捕らえました」


ドサッ

屋根上から、縄をかけられた男が落ちた





「連れて行け」



指示を出したあと



「恐怖心と警戒心は、お前に負けてねぇ
守るものがあるってのは、幸せだ
幸せだから、怖くて必死なんだ
余裕はねえよ」



その口調すら余裕を感じた


でも、嘘のない言葉

土方さんは、仲間を守りたいのね








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