浅葱色の恋心
「ハァーーーー」
沈黙を破ったのは
土方さんの大きなため息
〝疲れてるの?〟
チラリと土方さんを見る
〝違う……〟
掛ける言葉を探してるうちに
「君菊に会いてぇな……と、思ってよ」
鬼の顔が、情けなく笑った
もう、会えない
最愛の人を思い寂しさを堪えていた
いつもと違うと感じたのは
そのせいだ
「大きな仕事の前や後は、必ず君菊と
話をした
寒くなったとか… あの花が咲いたとか…
くだらねぇこと一日中話せた
不思議なもんで… 強くなれた」
私の左手を土方さんが握る
土方さんへ顔を向けると
「おめぇも 強くなれるんじゃねぇか」
その真っ直ぐな瞳に
「ぷっ!」
思わず噴き出した
「真面目にいってんだぞ… コノヤロ」
「だって…… 土方さん……
自分も辛いのに
総司のことで俺が心配になったから
励まそうとしてくれてるんだろ
ぷっ 無理してんなって」
次に沈黙を破ったのは 私
私が話し出すのを待ってくれていると
わかってから
どこから話せばいいのか考えた
「江戸の永井の家…っ」
私が、声を詰まらせると無言で
頑張れと、手を握ってくれた
「逃げ出した村と近くだったの」
土方さんの表情で察する
「江戸帰ったんだったね…」
「挨拶に寄った」
「怖くて外に出れなかった
ばれないように永井桃香になっても
お父様の仕事で京に来たとき
〝もう、一と平助に会えないかも〟
そう思って… 自害しようとしたの
思っていたよりもずっと遠かったから」
少し心を整理した
「一と平助が私の生きる糧だった
永井の家を一と平助のどちらかが継いで
ずっと一緒に暮らすって、勝手に決めてて
2人が、私を探して無かったことに
勝手にがっかりして
あの時 太夫やめて女中になってたら…
襲われなくてすんだのに
馬鹿みたいに…罠に引っかかって…
それで……懐妊したの」
静かに話を聞いてくれる土方さん
私の頬は涙がつたっていた
沈黙を破ったのは
土方さんの大きなため息
〝疲れてるの?〟
チラリと土方さんを見る
〝違う……〟
掛ける言葉を探してるうちに
「君菊に会いてぇな……と、思ってよ」
鬼の顔が、情けなく笑った
もう、会えない
最愛の人を思い寂しさを堪えていた
いつもと違うと感じたのは
そのせいだ
「大きな仕事の前や後は、必ず君菊と
話をした
寒くなったとか… あの花が咲いたとか…
くだらねぇこと一日中話せた
不思議なもんで… 強くなれた」
私の左手を土方さんが握る
土方さんへ顔を向けると
「おめぇも 強くなれるんじゃねぇか」
その真っ直ぐな瞳に
「ぷっ!」
思わず噴き出した
「真面目にいってんだぞ… コノヤロ」
「だって…… 土方さん……
自分も辛いのに
総司のことで俺が心配になったから
励まそうとしてくれてるんだろ
ぷっ 無理してんなって」
次に沈黙を破ったのは 私
私が話し出すのを待ってくれていると
わかってから
どこから話せばいいのか考えた
「江戸の永井の家…っ」
私が、声を詰まらせると無言で
頑張れと、手を握ってくれた
「逃げ出した村と近くだったの」
土方さんの表情で察する
「江戸帰ったんだったね…」
「挨拶に寄った」
「怖くて外に出れなかった
ばれないように永井桃香になっても
お父様の仕事で京に来たとき
〝もう、一と平助に会えないかも〟
そう思って… 自害しようとしたの
思っていたよりもずっと遠かったから」
少し心を整理した
「一と平助が私の生きる糧だった
永井の家を一と平助のどちらかが継いで
ずっと一緒に暮らすって、勝手に決めてて
2人が、私を探して無かったことに
勝手にがっかりして
あの時 太夫やめて女中になってたら…
襲われなくてすんだのに
馬鹿みたいに…罠に引っかかって…
それで……懐妊したの」
静かに話を聞いてくれる土方さん
私の頬は涙がつたっていた