浅葱色の恋心
   ☆  ☆  ☆  ☆  ☆





「局長 お呼びでしょうか」


「うむ 入りなさい」



「失礼しま……」


襖を開け、固まった彩華を

にこにこ見つめる人





「うちの娘は、ずいぶんと立派な息子に
なって、ここでよく働いていると近藤君が
えらく誉めてくれる
久しぶりだな 桃香」


「……お父様」


「桃 なぜ晴太なのだ?
桃太郎でも桃太でもよかったじゃないか!」


「ふふふっ それだけはご勘弁を!
は れ た で せいたと読みます!
この羽織みたいな晴れた空です!」


「ほぉ そうだったのかい」


近藤に力強く頷き

「お父様 おかえりなさい
生きて…
また会えるとは、思っておりませんでした」


「ただいま
屋敷は、片づいた いつでも帰っておいで」


「いいの?」


「???いいに決まっている」


「よかったね 晴太」


「はい!お母様にも早くお会いしたい!」


「こら尚忠を入れてやれ!
桃に会いたいとうるさいのだぞ!」


「あははっ 兄上らしいですね!」


「せっかくだ 1泊しておいで
久しぶりの家族水入らず
ゆっくり楽しむといい」


「ありがとうございます!!!」





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