浅葱色の恋心
その夜




御陵衛士の宿舎にて









「ここを脱したら、名を改め
身を隠せる場所が必要です
副長にその手配をお願いして下さい」


「わかった
お前はどうする」



「お二人と俺は、あまり関わりもないし
まず、疑われないでしょう
なるべく早い方がいい
二日後の夜でいいですね」



「支度しておく
一 平助は、怪しまれないように
必要な物だけ持ってくれ
二日後 迎えにくる」



「ああ」


「うん」





彩華が加納をチラリ





〝寂しそうな顔…〟







「加納 お前も来い」



彩華の言葉に、目を見開く



「伊東さんと志が違うなら
ここにいることはないだろう?」



「……」



「来い」



「……いけません
気に掛けてくれて、ありがとうございます」




にこりと笑う加納に


意志の強さが感じられ


それ以上、何も言えなかった





















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