浅葱色の恋心

誤算    上

【彩華】


一が名を山口二郎と改め

総司の体調が悪化して

本格的な療養の為に
屯所を離れていった

総司から、一番隊を引き継いだ



その5日後のこと

巡察から戻ると険しい表情の新八


「幹部召集だ」


その声色からも良くないことだと察する



「馬鹿馬鹿しい話なんだが…」


土方さんまでいつもより険しい顔


「昨夜の近江屋への押し入り…
……うちの原田が下手人としてあがってる」


近藤さんが続けて


「何かの間違いだと訴えたのだが
現場に鞘があったとか
それを原田のだと… 伊東さんが証言して
今、奉行所にお世話になっている」



しんみりした皆を見回して


「左之がそんなことすると思ってんのか!」


私は、声を荒げる


「するわきゃねぇだろ… だが…」

「そう、証言を覆す方法をだね」

「そうだ それなりの証言がこっちにも
いるだろ」



「ほんっっとぉに!馬鹿馬鹿しい!!
近藤さん!慶喜様の所に行きましょう!
土方さん!伊東さんに文書いて!
慶喜様の前で話そうって!
嘘ついたらいけないって、子供だって
わかることじゃない!
あー腹が立つ!!ついでにお父様にも
書いて!困ってるから助けてって!」


「お前が書けよ」


「字が書けないの!!!
ゴタゴタ言ってないで
さっさと書きなさい!!」



絶対かかあ天下だと
平助を心配する声が聞こえたけど


ここまで来たら


怖いものなど

無いんだから!!!



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