浅葱色の恋心
一と彩華の非番が重なった日



「一!遅い!」


「すまん!待たせた!」



彩華が町娘になり、一が刀を持たず

町で待ち合わせをした




「彩華 平助の墓に行こう」


「…うん」




一が何かにつけて、行こうと言うのは

平助の墓



2人で過ごしたい彩華は、肩を落とす

それを悟られないよう

ニコリと笑い



一の横を歩く




墓につくと、いつも通り手を合わせた



「彩華に渡したいものがある」


「なぁに?」




一が懐から、櫛を出すと

彩華は、目を見開き両手で口元を覆う



「わっ… 私に?」



「俺から渡すのもなんだが…」



「嬉しい!!!」


彩華が一に抱きついた


「私、一のことずっと好きだったの!
一と夫婦になれるなんて!!夢みたい!!」



彩華が顔を上げ、一を見ると

一は、心底驚いた顔のまま

彩華から

目をそらすよう

彩華を抱きしめ返し、懐に収めた


「一?苦しいよ?一?」








しばらくして、一が彩華を解放した



「私、一のお嫁さんになるのね!
一緒に暮らせるのね!うふふっ
彩華に戻りたいって、近藤さんと土方さん
あと、皆にお願いしないとね!
お父様やお母様、兄上にも… んんっ」



はしゃぎたくさん喋る彩華に口づけをした



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