浅葱色の恋心
「無理に男として生きる必要はねぇぞ」


土方さんからの一言目に面食らう



「一の事が、好きなら
もう一度きちんとお互いの気持ちを話せ
その上で、男としてここに残るなら
一番隊に戻す」



てっきり説教かと…



「一の事で気をつかって、監察方専属に
してくれたんですか?
一とは、良き友としてこれからも
新選組で仲良くやっていきます!」


「一に女が出来ても同じ事が言えるか?」



「……はい」




かなり自信がない




きっと土方さんには、お見通し






スッ と、立ち上がり


壁に背中を預け座る


トントンと右隣を叩く



指定されたその場所に、私が座ると

前回同様に手を握られた




「おめぇ… 平助の事覚えてねぇだろ?」





心の臓が、バクバクと音をたてる



「覚えてますよ… にこにこ笑って
いつも皆に気をつかってた
私にも… 」



多分… 


総司から聞いてた平助を適当に話しておく



「一の事は、もういいのか?」


「友です」


「じゃあ良いよな?」


「なに…」



聞く前に、私と土方さんの唇が重なった


土方さんが唇を離すと


「嫌なら拒んでくれ…」


もう一度、唇が重なった


びっくりしすぎて、どうしていいのか


わからなかった


土方さんが悲しそうな表情で

私の頬を撫で


「お前が拒まねぇから… 俺が…」


再び、土方さんが口づけをしようと

近づいた


私は、土方さんの胸を押した



「一がいい
ごめんなさい
こういうのは、一じゃないとやだ!」




俯くと




頭の上で土方さんが笑った




「クククッ 最初からそう言えよ」




いつもと同じ


私をからかう笑い方だった




















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