浅葱色の恋心
【一】




土方さんが、外出に付き合えと言うから

ついてくれば

平助の墓だった




墓参りを済ませると



「彩華は、平助の事を思い出してねぇぞ」



衝撃的なその言葉に、言葉を失う


そんな俺に、ため息漏らすと



「なんでお前が気がつかねぇのかな」



からかっている様子もなく

土方さんが確信しているとわかる



「なぜ… 思い出したフリを…」



「んなの…お前の為だろ」



意味がわからない

俺の為???



「平助に遠慮する必要あんのか?」


「彩華は、平助の事が」


「だから!そこ!覚えてねぇって!」


「え… あ… ちょっと
ついていけてないです
土方さんは、どうして気がついたんですか」


「ずっと見てたからだ」



土方さんの表情が、見たことのない

切ない感じにとれた



「土方さん…彩華の事…」


「うるせぇな!俺の事はいい!
まぁ…俺は、誰にも遠慮なんかしねぇ
お前にも、平助にも
だが、平助の言うように
彩華が、可哀想だ
『一がいい 一じゃないとやだ』だとよ
このまま、あいつに人を斬らせるのか?
お前だって、そんなこと望んでねぇだろ」



望んでいるはずがない


ただ


どんな形でも


彩華がそばにいることが支えになっている









「もう少ししたら、永倉が連れてくる
答えを出せ」


















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