浅葱色の恋心
【一】




土方さんから


「特に怪しい屋敷じゃねぇが
あいつにまとわりつく口実を作ったから
2人でちゃんと話せ」


と、言われる



彩華を迎えに永倉君の部屋へ行くと


口を尖らせた姿に

平助がいると思った

思わず「変わらんな」と言ってしまった




船宿につくと


「あの屋敷の何が怪しいんだ!?」



さすが監察方


「至って普通の屋敷だよね?一?」


「見掛けはな
土方さんが目をつけてるんだ
何かあるだろ」


「そうだね!」


完全に仕事中だ

世間話などしてる場合か?


「一!ちゃんと見てないと!」


ほら…




彩華に人斬りなどさせたくない

男ならしっかりしないと!!



「彩華」


「なに?」


「平助の事…」


「そんな話、今しないで!」


「……」


一刻も、屋敷を見続ける



「つまらんな」

「そう?」



完璧に飽きた



「ふふっ 一って案外飽きるの早いね
子供達と遊んでた時も飽きてたもんね」

「まあな」

「監察方には、むかないね」

「仕事は、別だ!」

「今も仕事でしょ!?」

「!!!そうだった」


危ない


「うっ」


彩華が脇腹を抑え蹲る


「彩華!」


背中を擦り、彩華の顔を覗き込む


バチッと目が合うと

真っ赤になって


「近い!!一!」


そっぽ向いた


「大丈夫!一瞬だけだから!もう痛くない」


脇腹に手を当てたまま

そんなこと言われても説得力はない


後ろから彩華を抱きしめた


「俺には嘘をつかないでくれ」


ふわりと彩華の匂いがする


「ずっと彩華だけを想ってきた
新選組の仲間じゃなく
俺だけの彩華でいてほしい」




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