浅葱色の恋心
大阪への道のり

歩いていると

昨日

一に言った

〝一も平助も…〟

と言う言葉を思い出した



平助の事は、何も覚えていない



なのに、自然にそう言った



不思議



『不思議じゃないよ!
幼なじみなんだからさ!
別に思い出さなくてもいいけどさ!
一って、変なところで鋭いから
気をつけなよ!』



急に話し掛けないでよ!



『ごめん』




「どうした?痛むのか?」


「ううん なんで?」


「なんかムッとした顔してた」


「クスクス うん!ムッとしてただけ!」


『新八は、土方さん並に勘がいいからね
左之は、あのまんまだけど』


「クスクス」


「なんだよ!?何笑ってんだ?」


「平助と話してて」


『言わなくていいからぁー』


「平助?平助がついてて何で伊東さんに
やられんのかねぇ?」


『ムッ!新八がいてもやられてた!!!』


「そうかな?」


「なんて?」


「新八がいてもやられてたって!」


「ぬっ!なんだと!
平助と一緒にすんな!!
俺様がいたら平助が5人いるのと同じだぞ」


『どういう意味?』


「さぁ?意味わかんないね…」


「そんだけ凄いってことだ!」


「はいはい」




適当にあしらい


無言で歩いていると




「今も話してるのか?」


と、何度も聞かれる



「話してない!」






新八は、平助が好きなんだろうな





山道では、おいしい木の実を採ってくれた

なんだか…面倒見のいいお兄ちゃんみたい







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