漂う嫌悪、彷徨う感情。
彼女たちの過去。



商社に営業として入社して3年。

仕事にもこなれ始めた頃、オレの課に新卒の営業事務として入って来たのが美紗だった。

健気で、何にでも一生懸命で、面倒な仕事にも嫌な顔をせずに頑張る彼女。

そんな彼女に恋に堕ちるのに、時間はかからなかった。

一緒に仕事をしながら、たわいもない話を出来る様にまで打ち解けたある日。

お互いの実家が同じ市内だった事が発覚。

地元トークで美紗との距離が一気に縮まった。

仕事帰りに一緒にご飯に行ったり出来るまでになった時、思い切って美紗に告白をした。

『ワタシもずっと好きでした』と顔を真っ赤にした美紗。

可愛くて可愛くて。

こんなに可愛いコが自分の彼女になった事が嬉しくて、自慢で。

美紗との時間は、楽しくて幸せで。

ささいなケンカはあれど、順調に付き合い続けて2年が経った。


「そろそろ結婚しませんか??」


デートの帰りに美紗にプロポーズをした。


「したいです」


涙目になりながら、嬉しそうに返事をしたこの日の美紗を、オレは一生忘れないだろう。



オレは、美紗と結婚する。
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