漂う嫌悪、彷徨う感情。

「勇太くんは優しいよ。 勇太くんと一緒にいて嫌だった事なんか1回もない。 だけど勇太くん・・・真琴ちゃんのお兄さんなんだもん。 真琴ちゃんと血の繋がった兄妹なんだもん」

美紗は、美紗にもオレにもどうすることも出来ない現実を口にすると、大きく深呼吸をして無理矢理呼吸を整え、フラフラになりながら立ち上がった。

「・・・ごめんね、勇太くん。 ごめんなさい」

部屋を出て行こうと、美紗がドアノブに手を伸ばした。

「待ってよ美紗!!」

美紗の手首を掴んで止めると、

「本当にごめんなさい。 許してください。 ごめんなさい」

その手を美紗が泣きながら解いた。

何を言えば良いのか分からず、フラつきながら階段を降りる美紗の後ろ姿を見ているしか出来なかった。

ただただ、妹への怒りが沸き起こるだけだった。
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