漂う嫌悪、彷徨う感情。
「・・・じゃあ、小田ちゃんお願い」
涙を零してしまわぬ様に、トイレに駆け込もうとこの場を離れようとした時、
「ちょっと待ってよ。 オレは木原さんに頼んだんだけど」
勇太くんがワタシの二の腕を掴んだ。
「・・・ワタシじゃなくても資料作りは出来るので・・・もし、人手が足りない様なら声を掛けてください。 お手伝いしますから。 ・・・ワタシ、ちょっとお手洗いに・・・。 すみません」
ここで泣いてはいけない。 涙を見せて『みんなにシカトされて、仕事さえさせてもらえない可哀想な人』になって憐憫の情を稼ぐ様な真似はしたくない。 徹底的に悪者になって、勇太くんにこそ同情票を集めたい。
でも辛い。
ワタシの腕を掴む勇太くんを振り切り、トイレまで走った。