漂う嫌悪、彷徨う感情。

「・・・美紗の幸せの為??」

ティッシュで目頭を押さえ、黙ってオレの話を聞いていた美紗のお母さんが口を開いた。

「・・・美紗、勇太くんの事が大好きなのに、結婚しない事が美紗の幸せなの?? 美紗、勇太くんと付き合う事になった時、結婚する事が決まった時、物凄く嬉しそうに、幸せそうにワタシに報告してくれたのよ。 ワタシはあの子の親だから、いつでも美紗の事が可愛くて仕方がない。 そんな美紗が、今まで見た事もない程の可愛い笑顔で話していたのよ。 ワタシも本当に嬉しかった。
美紗は勇太くんを嫌いになって結婚を辞めようとしているわけじゃないじゃない。 大好きだから勇太くんを守ろうとしているんじゃない。
美紗はまた、アナタの妹のせいで不幸に追いやられるの?? そんなのあんまりよ」

美紗のお母さんが丸めたティッシュを握りしめた。
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