漂う嫌悪、彷徨う感情。
同志になれない同士。
---------勇太くんの事は、見ない様に。気にしない様に。
こんなにも気を遣っているのに、どうしてワタシの黒目は勇太くんの姿を探したがってしまうのだろう。
困っている勇太くんのお手伝いをしたいと思った。
小田ちゃんは、入社した頃からパソコン嫌いだった。 タイピングは問題なかった為、フォーマットさえあれば仕事に支障がなかった小田ちゃん。 ただ、全部の仕事にフォームがあるわけではないので、出来る限りはフォーム作成するけれど、『これだけは覚えて』と無理矢理四則演算だけは出来る様にしつこく教えた。
が、勇太くんが必要としているプレゼン資料は、SUM関数だけでは到底作れないものだった。
前回ワタシが作った資料のEXCELが、使えないわけではないが、加工しなければいけない。
ワタシの仕事はSEではない。 営業事務だ。
だから、自分よりパソコンに詳しくない小田ちゃんを見下した事などないし、自分のパソコンスキルを見せびらかしたいと思った事もない。 そもそも、仕事に不便なくパソコンを使えると言った程度で、専門的な事は分からないし。
勇太くんも、基本的な事は出来るが、応用したり加工したりするのが苦手だった。
小田ちゃんが『自分がやる』と申し出た時、『じゃあ、お願い』と言いながらも、小田ちゃんと勇太くんとで資料を作るのは、正直無理があると思っていた。