漂う嫌悪、彷徨う感情。
日下さんも頻繁にLINEをくれる。
何の心配も、気を遣う事もなく喋れる日下さんとは、最早仲良しの女子同士みたいになってしまった。
日下さんを、男として意識していないわけではない。
ふと、『もし日下さんが自分を好きでいてくれたなら』と考えた事もある。
真琴ちゃんの大好きな人と付き合う優越感に浸りたいと思った事も、確かにあった。
だけど、かつてワタシを虐めていた真琴ちゃんの事を好きになり、付き合っていた日下さんに、信頼の全てを預ける事に抵抗を感じた。
それ以上に、勇太くんへの気持ちが全然冷めてもくれなくて。
最終的に、日下さんから告られてもいないのに変な妄想を繰り広げる自分に呆れ返ったのだけど。
勇太くんへの想いの鎮静化を試み、日下さんと友情を育み、会社では相変わらずの周りからの冷たい視線に耐えながら毎日を過ごし、日下さんとの至れり尽くせり上げ膳据え膳豪華海鮮料理三昧の温泉旅行の日を迎えた。