漂う嫌悪、彷徨う感情。

「何もないです。 お願いです」

今度は更に深く頭を垂れる。 そもそも、日下さんには何の関係もない。 話す義理がない。

ここでもたもたしている場合ではない。 一刻も早くこの場から立ち去りたい。

「ねぇ。 オレ、真琴の彼氏だって言ったよね?? あの家から息を切らせた女の子が出てきて気にならないわけないよね?? 今オレに担がれてあの家に連行されるのと、場所を移して何があったか話すの、どっちがいい?? どうせ逃げる体力ないんでしょ?? どっちかしか選択肢ないよ」

それでも日下さんはワタシを逃がしてくれず、選びたくもない2択まで突きつけてきた。

日下さんは、ワタシたちの結婚には無関係だけど、勇太くんの家とは関係があった。
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