漂う嫌悪、彷徨う感情。

「・・・それを、『どっしり構えている』と言うのか、『開き直っている』と言うのか・・・。 まぁ、美紗ちゃんのそういうところ、好きだけどね。 オレも楽しんでるよ、この温泉旅行。 でも、何なんだろ。 この感じ。 このままもう1泊したいなーって思うのに、そうれはしない方が良いんだろうなって思っている自分もいてさ。 てか、『もう1泊』なんて無理な話なのは分かってるんだけど、無理じゃなかったと仮定しても、普通に帰る方をオレは選ぶだろうなー的な。 夢の中って長居しちゃだめだよね。 醒めた後がしんどいから。 『あー楽しかった。 よし!! 現実を頑張るか!!』ってくらいで抜け出さないとね。 だけどもう少し、旅行が終わるまでしっかり楽しもうか、美紗ちゃん」

日下さんがスクっと立ち上がり、『今日はたまごの摂取量とかカロリーとか気にしなくていいよね。 温泉たまごの追加取ってくるわ』と温泉たまごをおかわりしに行った。


----------夢の中に長居をしてはだめ。

ワタシも同じ事を思っていた。

今、こんなに楽しいのに、現実に戻るのも怖いのに、勇太くんと話がしたいと思った。
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