漂う嫌悪、彷徨う感情。
朝からお腹はち切れんばかりの朝食を食べ終わり、日下さんはもう一眠り、ワタシはノルマである3回目の入浴へ。
そして13時に旅館を後にした。
帰りの道中も楽しかった。
話し上手で聞き上手な日下さんとのおしゃべりは止まることなく、ずっと笑っていた気がする。
そしてワタシのアパートの前に到着。
シートベルトを外していると、
「美紗ちゃんさ、オレに『エッチで心傾く様な女に引っかからないでください』って言ったじゃん。 だからオレは、そんな美紗ちゃんに惹かれたんだと思う。 好きになったんだと思う。
・・・しかしオレら、すごいよね。 キスもハグも、手さえ繋いでないんだよ。 1日中ずっと一緒にいたのに」
日下さんがしょっぱい顔で笑いながら、後部座席に置いていたワタシの荷物を取ってくれた。
「そこら辺の中学生より清いですよね」
「中学生だったら模範生徒だったよね、オレら」
『あはは』と帰り際まで笑い合う。
「美紗ちゃん。 一緒に温泉に行ってくれてありがとうね。 美紗ちゃんを独占出来て、ずっとずーっと楽しかったよ、オレ」
「こちらこそです。 ワタシも楽しくて仕方なかったです。 本当にありがとうございました」
そしてお礼の言い合いに。