漂う嫌悪、彷徨う感情。
オレにとっては悪夢の様な旅行でも、美紗にとっては有意義なものだったのだろう。
美紗が元気を取り戻せたのは良い事。
でも、そうさせたのはオレじゃない。 和馬だ。
2人の間に何があったのかは分からない。 だけど、それを想像出来ないほど、オレは馬鹿でもおめでたくもなかった。
美紗が普通にオレに話しかけてきたのは、そういう事なのかもしれない。
もうオレには気持ちがないから。 なのかもしれない。
お茶台にお土産の箱を置き、『ご自由にどうぞ』という貼り紙をする美紗の後ろ姿を眺めながら、ネガティブな事ばかりが頭の中を駆け回る。 というか、この状態でポジティブでいられるわけもなかった。
おみやげをセットし終わった美紗が自分の席に着いた。
小声で『よし』と気合を入れ、パソコンに電源を入れる美紗。
美紗はオレとは違い、仕事やる気モードらしい。