漂う嫌悪、彷徨う感情。

おせんべいの方は日持ちするだろうと、温泉まんじゅうを箱ごと持ち上げ、空いている会議室に持って行く。

賞味期限を過ぎても残っていたら美紗が可哀想というよりは、美紗を良く思えない気持ちは理解出来ても、あからさまに美紗の善意を無下にする周りの社員たちに苛立ちを覚える。

適当な椅子に座り、昼メシ代わりにとまんじゅうの包み紙を剥ぎ、口に入れる。

「・・・あーまー」

甘さ控えめのまんじゅうと言えども、そんなに甘いものが得意ではないオレにとっては、充分甘い。

それでも次々に包み紙からおまんじゅうを取り出し、テンポよく口の中に放り込んでいると、ドアの外から誰かがノックをした。

「あ、はい。 どうぞ」

モゴモゴしながら返事をすると、

「気を遣って無理して食べなくても良かったのに・・・。 どうぞ」

苦笑いを浮かべた美紗が、ペットボトルのお茶を手にしながら中に入ってきた。
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