漂う嫌悪、彷徨う感情。
「あ、笑った。 良かったー。 キミ、オレの事邪険に扱いすぎ。 出会った瞬間に嫌われるって、何事?! オレ、キミに何したよ?? こんなに親切なのにー。 ショックだわー。 謝って。 名前教えて」
日下さんがワタシをおぶりながら『謝れ』『ホラ、名前!!』と膝を曲げたり伸ばしたりして、ワタシの身体を揺さぶった。
「すみませんでした。 木原です」
素直に謝り、名乗ると、
「それ、苗字。 な・ま・え!!」
日下さんは更に激しくワタシを上下に揺すった。
「美紗です。 美紗ですから!! 止めてください。 落ちる!!」
振動で落下しそうになり、慌てて日下さんの首に絡みつく。
「締まってる!! 首!! 何なの?! 殺す気なの?!!」
ワタシがしがみついたせいで日下さんの首が締まっていたらしく、日下さんが『緩めて緩めて!!』とワタシの腕をポンポンとタップした。