漂う嫌悪、彷徨う感情。

「はぁ?!! お父さんとお母さんの方でしょうが!! 2人は『お兄ちゃんさえ良ければいい人間』なのよ!! 昔からワタシに関しては放任主義だったじゃない!! 今更指図しないでよね!!」

が、オトンの言葉では正されない真琴。

そして、オトンもオカンも決して真琴を放任していたわけではない。

小さい頃から勉強嫌いで成績も悪かった真琴は、何故か悪知恵だけは働く人間だった。 我儘放題な真琴に、オトンが厳しく叱ったある日、真琴は泣きながら児童福祉施設に駆け込んだ事があった。 すぐさま施設の人間がウチにやって来て虐待を疑われたオトン。 それから・・・というか、そもそも暴力が嫌いなオトンは、もちろん手もあげないし、注意の仕方も柔らかくなった。 それが仇となり、真琴はどんどん増長し、今に至っている。

そんなオトンが、今日久々に激憤している。
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