漂う嫌悪、彷徨う感情。

「大丈夫か?? 病院行く??」

プルプル震える美紗の肩を抱くと、美紗は大きく首を左右に振って、ぎゅうっと両目を瞑ると、苦しさを堪える様に拳を胸に押し付けた。

「美紗、ちょっと休もうか。 ちょっと美紗、オレの部屋連れてくわ」

自力ではとても歩けそうにない美紗の腕を自分の肩に回し、美紗の身体をソファーから持ち上げた。

「・・・そうね。 具合悪いなら無理しなくて良かったのに・・・。 気を遣わせちゃったのね。 ごめんなさいね、美紗ちゃん」

美紗の異変に困惑する両親の横で、

「わざわざデートの時間ずらしてやったのに・・・」

と妹が悪態をつくから、

「オイ、黙れよクソブス」

立ち上がったついでに、上からまた妹の頭をぐっちゃぐちゃに掻き乱してから、美紗を抱きかかえてリビングを出た。
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