漂う嫌悪、彷徨う感情。
「慰めましょうか?? 佐藤さんの事」
小田さんが『よしよし』とオレの頭を撫でた。
「慰めてもらえばー?? 誰と何しようが浮気ってわけでももうないんだしさー。 折角小田さんが癒してくれるって言ってるんだし、甘えちゃえばー??」
岡本が笑いながらオレらを眺め、何気にグサっとくる言葉を何の気なしに放った。
『誰と何をしようが浮気にならない』
美紗とはもう終わっているという事か。
美紗の行動は全部嘘なのに。 オレは終わりたくも終わらせるつもりもないのに。
オレは・・・終わらせたくないのはオレだけなのか・・・。
美紗は終わらせようとしているんだもんな。
美紗が和馬と腕を組もうが、何をしようが批難出来ない。
オレが何をしようと、美紗はオレを咎めたりしないだろう。
「・・・・・・小田さんって、どこ出身??」
「何ですか?? 急に。 うどんの国、香川ですけど??」
脈略不明のオレの質問に、小田さんが戸惑いつつも笑いながら答えた。
「大学は??」
「学歴まで探りますか?? 大学まで地元ですよ」
尋問し続けるオレに、不審がる小田さん。
大学まで香川にいた小田さんが、真琴と知り合いである可能性は限りなく低い。
真琴の事を知らない人と付き合った方が、結婚した方が楽なのかもしれない。
アルコールが弱気を呼んできたのだろうか。
「・・・・・・慰めて。 小田さん」
小田さんの肩に頭を乗せると、
「いいですよ」
小田さんがオレの頭に自分の頬を付けた。