死神のお仕事
(美しい街だな…)
アルフは、その街で一番高いと言われているビルの屋上から、街を眺めていた。
サーッ…
やわらかな陽射しの中、微かに風がアルフの髪を揺らす。
今回の彼のターゲットは、この街に住む十歳の少年。
(いつまでもこうしていたいが、行かなくてはな。)
名残惜しそうにゆっくり翼を起こす。
そしてバサ…バサッ…と目的地へと飛び去るのだった…。
パサッ…パサッ…。
(ここだな。)
目的の家の屋根に降り立つアルフ。
黄緑色の屋根に、薄いオレンジ色の壁。
ようやく人一人通れるぐらいの広さしかない庭に、犬小屋が一つ。
犬は眠っているようだが、アルフの位置からは犬の姿は確認できない。