死神のお仕事


カーン…

カーン…

カーーン………。

教会の鐘が止んだちょうどその時だった。


一人の女性が墓場を訪れた。

長い黒髪をバレッタで止め、白いワンピースを着こなしている。瞳は、紫色。

整った顔立ちの美人だが、どこか悲しげな表情だった。



ザッ…

ザッ…

女性は、中央付近の墓場に、菊の花束をそっと供えた。


そして、軽やかに歌い出した。



「時は…早く過ぎ去り…」


「絆は…脆く崩れる…」


そう…消えゆく死神に贈る歌…レクイエムを…。
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