死神のお仕事



「アルフ!兄貴と呼ばせてくれ…いや、呼ばせてほしいっす!」



リアゼであった。

昨夜とは態度は一変。アルフの前に来るなり、土下座して頼んだ。



(兄貴と呼ばせてくれ…?)


アルフは眉をしかめ、リアゼの顔を穴が空きそうなほどじーっと見つめる。



「ちょっとぉ…リアゼだっけ?何を企んでるのよっ?言っておくけど…アルフに手を出したらこのイーリアちゃんが許さないんだから!」


「俺は純粋に敬服しているだけだ!」


負けじと言い返すリアゼ。



「むぅ…!アルフを傷つけようとしたくせに…“兄貴”なんて都合良すぎるんじゃないのっ!?」


「そうかもしんねえ…。否定はできねえけど…天界の掟にもあるだろ?“敗者は無条件で勝者に従うのが理だ”ってな!」


「………一人にしてくれ。」




アルフは二人のケンカに嫌気がさしたのか、不意に翼を広げ“襠”(下界の“街”とほぼ同じ意味)に飛び去ってしまった。


バサッ…バサッ…と羽音だけが、その場に聞こえてくる。



< 16 / 227 >

この作品をシェア

pagetop