死神のお仕事
「アルフ!兄貴と呼ばせてくれ…いや、呼ばせてほしいっす!」
リアゼであった。
昨夜とは態度は一変。アルフの前に来るなり、土下座して頼んだ。
(兄貴と呼ばせてくれ…?)
アルフは眉をしかめ、リアゼの顔を穴が空きそうなほどじーっと見つめる。
「ちょっとぉ…リアゼだっけ?何を企んでるのよっ?言っておくけど…アルフに手を出したらこのイーリアちゃんが許さないんだから!」
「俺は純粋に敬服しているだけだ!」
負けじと言い返すリアゼ。
「むぅ…!アルフを傷つけようとしたくせに…“兄貴”なんて都合良すぎるんじゃないのっ!?」
「そうかもしんねえ…。否定はできねえけど…天界の掟にもあるだろ?“敗者は無条件で勝者に従うのが理だ”ってな!」
「………一人にしてくれ。」
アルフは二人のケンカに嫌気がさしたのか、不意に翼を広げ“襠”(下界の“街”とほぼ同じ意味)に飛び去ってしまった。
バサッ…バサッ…と羽音だけが、その場に聞こえてくる。