死神のお仕事
彼にとって重要な情報といえば、そこが緊急病院であり、死者や重病人が後を絶たないということくらいである。
死神にとっては、まさに…
「格好の狩り場といったところか。」
空から病院を見下ろし、アルフは何気なく呟く。
高度を下げ、とある病室を窓越しに覗くと、少女が一人、ベッドに力無く横たわっているのが見えた。
顔は青白く、呼吸は弱々しい。
まだ十歳にもならぬであろう幼き命を、病は確実に奪おうとしていた。
「………。」
アルフは、そっと窓から中に入り、ベッド脇で少女を見つめる。
と、その時。何か気配を感じたらしく、少女が目を開けた。
パチ…パチ…とゆっくりまばたきをし、目だけをアルフに向ける。
「あなたは…死神さん…?」
開口一番、か細い消え入るような声で少女は訊いた。
アルフはよくわかったなというように、ほうと声を漏らした。
「そうだ…私は死神という存在だ。」
「やっぱり…そうなんだ…。絵本で…見たことがあるの…。」
軽く目を閉じ、またアルフを見つめる少女。