死神のお仕事
「うん…。見た目は…真っ黒で…怖いけど…瞳が…とっても…優し…」
ガラッという扉の開閉音が、二人の会話を不意に遮った。
「シャンテちゃん、面会ですよ。」
開いたスライド式の扉から、ナースと彼女の両親らしき二人の人物が入ってきた。
「お父さんと…お母さん…!アルフ…また後で…お話しようね…。」
シャンテは声をひそめて、そうアルフに告げた。
アルフは、こくっと頷き、
「…また。」
入って来た時と同じように、窓をすり抜け部屋を後にした。
「シャンテ。今日は…調子が良いみたいでよかったなあ。」
父親と思われる男性が言って、
「頑張ろうね。退院したら、あなたの大好きな料理、ママが腕を奮って作るからね。」
母親も声をかけた。
二十代後半ほどのナースは、その様子を見届けてそっと病室を離れた。
「うん…!あたしね…」
シャンテの声が遠のく。
アルフはその近くにはもう居なかった。