死神のお仕事



「うん…。見た目は…真っ黒で…怖いけど…瞳が…とっても…優し…」



ガラッという扉の開閉音が、二人の会話を不意に遮った。








「シャンテちゃん、面会ですよ。」



開いたスライド式の扉から、ナースと彼女の両親らしき二人の人物が入ってきた。




「お父さんと…お母さん…!アルフ…また後で…お話しようね…。」



シャンテは声をひそめて、そうアルフに告げた。


アルフは、こくっと頷き、



「…また。」



入って来た時と同じように、窓をすり抜け部屋を後にした。




「シャンテ。今日は…調子が良いみたいでよかったなあ。」



父親と思われる男性が言って、




「頑張ろうね。退院したら、あなたの大好きな料理、ママが腕を奮って作るからね。」



母親も声をかけた。


二十代後半ほどのナースは、その様子を見届けてそっと病室を離れた。




「うん…!あたしね…」



シャンテの声が遠のく。


アルフはその近くにはもう居なかった。
< 6 / 227 >

この作品をシェア

pagetop